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Cosa fanno i nostri sommelier ──
ワインと歩む、卒業生たちのいま。

鈴木 なぎさ さん (女性・40代・東京都)

イタリアンレストラン『いしがみosteria』 オーナーソムリエ

「プロの料理人の夫」を支えたい。知識ゼロから始まった挑戦

私たちが自分のお店を立ち上げたとき、主人はすでにプロの料理人として厨房を背負っていました。一方で私は、ワインに関してはまったくの素人。「夫が料理を作り、私はホールでお皿を運ぶ」という役割からのスタートでした。当初は、自分が客として食べ歩きを楽しんだ中で「美味しい」と思ったワインを出している状態だったのです。

しかし営業が始まると、お客様の方がワインにお詳しいことも多く、「このままでは恥ずかしい、プロである夫の料理に泥を塗るわけにはいかない」と強い危機感が芽生えました。「美味しいお料理を、もっと素晴らしい体験として届けたい」。その一心で、知識ゼロから猛勉強をスタートしたのです。

当時の日本のソムリエ試験の勉強は、まさに「受験勉強」そのものでした。辞書のように分厚い教本をがっちり読み込み、ひたすら暗記する日々。素人の私には本当に大変でしたが、このとき世界のワイン産地を網羅する基礎を叩き込んだことが、ソムリエとしての確かな一歩となりました。


 独学で掴んだ資格のその先へ。現場で感じていた「実践への不安」

ほぼ独学で日本のソムリエ試験をパスすることはできましたが、いざ日々の営業を迎えると、心の中には常に不安がありました。

「本当にこのワインリストでいいのか」「このお料理に対して、自信を持ってこのワインを勧められているだろうか」。

教科書通りの知識はあっても、ワインリストの作り方や、お料理とワインの合わせ方で、実践的な経験が足りないことを痛感していました。

「もっと勉強したい」と思っていたとき、Facebookで日本人向けのAISコースの存在を知りました。

「イタリアのワインを、その土地の空気の中で勉強したら、現地のソムリエや生産者のリアルな考え方がもっと深く理解できるかもしれない」。

そう期待に胸を膨らませ、受講を決めました。特に、現地の食材を使ったお料理とワインの組み合わせ・アビナメントの授業は、受講前から本当に楽しみにしていました。


本場のプロが教えてくれた、ワインと正しく向き合う姿勢

日本でのベースがあったからこそ、イタリアでの学びは驚くほど立体的に頭に入ってきました。AISのコースは、日本での「机上の勉強」を「現場で生きる最強の武器」へと昇華させてくれる場所だったのです。おびただしい量のテイスティング、そして料理とワインを合わせるアビナメントの試食を実践的に繰り返す日々。講師陣や通訳の皆さんも本当に素晴らしく、少人数のアットホームなクラスで、全員に対して常に紳士的かつ丁寧に授業を進めてくださいました。

そんなクラスで、今でも印象に残っているエピソードがあります。ある日テイスティングしたワインが、とても青臭いハーブ感の強いものでした。私が「これをお食事と合わせるなら何が良いですか?」と質問したところ、先生は真顔で「ワインが不味い!こんなのワインを作るの辞めちまえ!」と一刀両断。心の中で大爆笑してしまいましたが、本場のプロのストレートな意見に、逆に清々しさを感じました。

もちろんそこには造り手へのリスペクトがあるからこそ。それ以上に「ワインは食と合わせてお互いを高め合う存在である」という、イタリアの基本姿勢が根底にあるからこその言葉だと、深く感心させられたのです。このように、お互いが本音で意見を交わし合える環境は、少人数クラスならではの恵まれた魅力でした。

また、日本で流行しているナチュラルワイン等に対し、先生が「従来のテイスティング方法では測れない酸味や香りがある。今のロジックにはないけれど、適切な評価方法が必要だ」と話されていたことも深く心に残っています。ただ流行を追うのではなく、あらゆるワインに常に正しく、誠実に向き合おうとするプロの姿勢に感動し、「またこの先生方に教えてもらいたい」と心から思いました。

さらに、教室を飛び出し「実物」を見ながら学べる環境も圧巻でした。ブドウ畑やワイナリー、冷却装置やセメントタンク、ずらりと並ぶ樽。伝統的なデザートワイン『ヴィンサント』が発酵の過程で吹き出して汚れた壁のシミ。そうした現地のリアルな光景を体験することで、教科書の文字でしかなかった知識が、すんなりと脳裏に焼き付いていきました。


伝統だけに縛られない。予算に合わせて最適解を導ける一生物の経験。

帰国後、お店の営業で役に立っていることは数え切れません。

まず、初めて飲むワインであっても、価格やインポーター、ブドウ品種などの先入観にとらわれず、「どこが良いところで、どこが気になるか」を正確に点数化できるようになりました。

余韻やバランスという、テイスティングの本当の基礎が身についたことで、ワインを味わうこと自体が以前より何倍も楽しくなりました。

そして何より、お料理に対して、合わせるワインを迷わず決められるようになりました。

郷土料理と地ワインのような「テッパンの伝統的な組み合わせ」だけでなく、お客様のご予算に応じて別の選択肢を提案しなければならない場面が多々あります。

そんな時、AISで学んだ「お料理の味、甘味、塩気、脂っぽさ、食感、ハーブやスパイスの余韻」といった様々な要素を因数分解し、補い合わせるというテクニックが、今とても役に立っています。

伝統や自分の味の好みに縛られず、お客様のご予算の中で最高のペアリングを提供できる自信がつきました。

そして、私にお店を支えるそんな貴重な経験をさせてくれたのは、私がイタリアにいる間、日本でワンオペでお店を回し続けてくれた夫と、快く温かく送り出してくださった常連のお客様たちです。

この溢れるほどの感謝の気持ちを、これからはお店で素晴らしいワインを提供し、最高の時間をお届けすることで、しっかりと恩返ししていきたいと思っています。


最高の思い出が詰まった、大好きなモンテカティーニの街

オプションのワイナリー訪問や食事会も最高の経験でした。個人旅行では絶対に立ち入れないような素晴らしい場所で、貴重な試飲をたくさんさせていただきました。

そして、1ヶ月を過ごしたモンテカティーニの街が大好きになりました。治安も良く、女性1人でも怖い思いをすることなく安心して歩けます。2月の受講でしたが、寒さは東京と同じくらいで過ごしやすかったです。

駅やスーパー、コインランドリーも徒歩圏内にあり(コインランドリーの機械の使い方が分からなくて、なぜか現地の人に使い方を聞かれたりしたのも良い思い出です笑)、生活には困りません。美味しいカフェやドルチェの誘惑が多くて、甘いもの好きの私にはたまりませんでした。

叶うなら、次は質問をたくさん用意して、もう一度あのレッスンを受けに行きたいです。今度はもっと先生たちを質問攻めにしたいです。

久留 璃々香さん(女性・20代・東京都)

イタリアワインのオンラインショップ「株式会社Libertas」代表

「会社を辞めて飛び込んだイタリア。私が手に入れたのは、縛られない自由と、ブレないロジックでした」


留学却下、そして退社。20代でワイン会社を立ち上げるまで

私のイタリアへの旅路は、通勤中の何気ないリサーチから始まりました。ワインショップの販売員として働きながら「WSET Level3」の受験を終え、さらに上を目指す中で出会ったのが、イタリアのソムリエ資格AIS(イタリアソムリエ協会)でした。その圧倒的なかっこよさに魅せられ、すぐに会社へ「留学のために休職したい」と申し出たのです。

しかし、結果は却下。そこで私は立ち止まることなく、「それなら」と退社を決意してイタリアへ飛び立ちました。戻ってきたら何をしようと考えたとき、ふと「この若さでワイン会社を経営している人は見たことがない。組織に所属して、決められた指示をこなすのではなく、自分の思うように一から全部を築き上げ、フレッシュな価値観でワインの魅力を届けてみたい」と思ったことが、25歳での起業(株式会社Libertas設立)のきっかけでした。


正解」を当てるためではなく、伝えるためのテイスティング

元々ワインの知識はありましたが、現地で触れたAISの文化は、それまでの学びとは全く異なるものでした。今までに勉強してきたものは、どちらかといえば決められた選択肢から「正解」を選ぶようなイメージ。一方で、AISのメソッドは、テイスティング用語など決まったものはあるものの、どうしてそれになったのかの意味づけが理論的であること、そしてそれを伝えられることがより大切というスタンス。このスタイルが、私にはとても合っていると感じました。

さらに、料理を分析して相性を数値化する「アッビナメント(ペアリング)」の授業は、私の中の選択肢を劇的に広げてくれました。教科書で読んで暗記するペアリングではなく、実際に試食をして、料理を分析して数値化するという方法は本当に面白く、今でも、食事のたびに頭の中でグラフ化してしまうほどです。

短期集中での資格取得という緊張感の中、週末の観光ですら「勉強しなきゃ」という少しの罪悪感を伴うものでしたが、それこそが本気の留学ならではの忘れられない思い出です 。

不覚にも滞在中に風邪で体調を崩してしまったときは、日本から持参した常備薬に救われながら、必死に勉強しました(これから行く方は常備薬の持参を絶対におすすめします!)。


 実践で活きるロジック。お客様が納得する「ペアリングの言葉」

帰国後、ナポリでの料理修行から戻ったばかりのシェフとコラボし、1日限定のワインバー&イタリアンイベントを開催しました。その際、AISで学んだアッビナメントが大活躍したのです。

自分の経験や教科書的な知識だけで語るのではなく、AISのペアリング概念を元にロジックで説明すると、お客様がいつも以上に深く納得し、驚きながら、目の前のワインとお食事に向き合ってくださるのを肌で感じました。本場で掴んだ武器が、確実にビジネスの現場で活きていると実感した瞬間でした。

「今後の人生でどうすっ転んでも、あの期間の思い出が自分を奮い立たせてくれる」。記憶を消してもう一度最初から参加したいと思うほど、人生で一番楽しい期間でした。


 日本橋の実店舗から、新しいワイン文化を広げていく

現在は、オンラインショップの運営に加え、これからオープンを控える東京・日本橋の実店舗の準備に奔走しています。人と話すのが大好きな私にとって、この実店舗は大切な発信のフィールドです。

目指すのは、難しい話をするお堅いワインバーではなく、ビギナーも愛好家も気楽に来られる場所。王道品種だけでなく、日本への輸入量が少ない「土着品種」を中心に扱い、お店に足を運ぶたびに新たな出会いと発見がある空間にしたいと思っています。 「ワインは難しい」というマイナスイメージを脱却し、日本に自由なワイン文化を定着させることが私の目標です。

そして店舗が安定した先には、自分の足で現地に向かい、自社輸入を始めるという次の夢もあります。あのとき覚悟を決めてイタリアへ飛び立った日から始まった私の挑戦は、これからもたくさんの人へ、知的好奇心が揺さぶられる自由なワインライフをお届けしていきます。

ともこさん(女性・50代・ 受講時40代・茨城県)

茨城県つくば市の紹介制ワインバー『かふね』店主

「初めての海外、未経験からの挑戦。私の背中を押してくれたのは、本場でやり切った自信でした」


体調不良をきっかけに、未経験で飛び込んだイタリア

私のイタリアへの扉は、ある種の「人生の休息期間」から開きました。体調を崩して仕事を一時休職することになり、それまで忙しくてできなかったことをしようと考えたのです。「せっかく海外へ行くなら、ただ旅行するだけでなく何かを学びたい」。そう思ったとき、かつてワインが苦手だった私が初めて美味しいと感動した、イタリアのオレンジワインの記憶が蘇りました。「よし、イタリアでワインの勉強をしよう」。そう決意して、すぐに申し込みました。

しかし、現地に到着すると大きな壁が待っていました。周囲の参加者は海外生活の経験者ばかり。対して私は、これが人生初の海外生活で、ワインも全くの初心者です。

「とんでもない場違いな場所に来てしまった……」と、最初は絶望したのをよく覚えています。


絶望からキラキラした毎日へ。五感で学んだイタリアの文化

最初に感じたそんな絶望も、すぐに吹き飛びました。日本とは異なる文化や、息をのむほど美しい風景。見るものすべてが新鮮で、毎日は一気に充実したキラキラしたものへと変わっていきました。インプルネータでのアンフォラのワインイベントや、古くから続くフランチャコルタの歴史ある伯爵家のワイナリーの佇まい。五感で触れるイタリアの空気は最高でした。

勉強や生活の面で不安もありましたが、スタッフの皆さんをはじめ、周りのみんなが温かくサポートしてくれたおかげで、最後まで笑顔で頑張り抜くことができました。さらに、イタリアに行ったことで、それまではあまり気にしていなかったオリーブオイルにも興味が湧き、後にオリーブオイルコースも受講しました。ワインのソムリエコースと違って1週間の短期コースでしたが、学ぶことはいっぱいで、「もっとじっくりもう一度やり直したい!」と思えるほど、濃密な時間となりました。


開業を諦めかけたとき、あの挑戦が私を支えてくれた

帰国後、会社勤めを辞めた私は、周囲の勧めもあって茨城県つくば市に完全予約制のワインバー『かふね』を開くことになりました。初めての店舗経営。自信が持てず、途中で何度も「やっぱりお店を開くのをやめようか」と弱気になりました。そんな時、私の背中を最後にぐっと押してくれたのが、「未経験からひとり、イタリアであれだけ必死に勉強してきたんだ」というあの時の経験と自信でした。

お店を始めた今、AISで学んだ食べ物と飲み物を組み合わせる(ペアリング)の、楽しさ・大切さを日々実感しています。日常生活の中で居酒屋さんに行ったりすると、ほとんどの方は食べ物と飲み物を別々に選んで、ペアリングについて考える方はとっても少ない、それはすごくもったいないこと。高級なレストランでいただくかしこまったペアリングコース料理でなくても、ちょっとした食材やジャンクなおつまみ一つでも、ワインと合わせることでびっくりするほど美味しくなり、幸せになれる。当時の授業では、授業について行くことに必死でしたが、今振り返ると、その大切さと面白さをAISで学んだことが、現在の店づくりの核になっています。


おうちでも真似できる、日常をちょっと幸せにするペアリングを

現在のお店では、自然派やクラシックといった枠組みにとらわれず、お客様の好みに寄り添い、ワインが持っているストーリーや個性を大切にワインをセレクトしています。また、天ぷらやお寿司などをテーマに、季節のネタに合わせたペアリングの会も定期的に開催しています。ワインにとどまらず日本酒なども一緒に合わせるので、勉強することがたくさんありますが、とても楽しく、お客様からも大変好評をいただいています。

私が提案したいのは、お店でしか食べられない特別なペアリングではなく、「おうちでも真似できるような組み合わせ」です。自分で買って、家でも同じように楽しめたら、それを誰かに作ってあげることもできる。そうすれば、毎日はもっと楽しくなると思うのです。

あの日、一歩を踏み出して本当に良かった。これからも色々なシーンで、日常を少しだけ特別にする、自由で楽しいワインの魅力をお伝えできたらいいと思っています。

渕上 誠剛さん(男性・50代・福岡県)

【FUCHIGAMI】シェフ

Barilla PASTA CHAMPIONSHIP ASIA 2024 アジア総合優勝

「真の豊かさは『食』にこそある。本場で掴んだロジックが、料理とワインを革新的な一皿へと昇華させる」


イタリア料理の真髄を求め、感覚を「正確なメソッド」へ

イタリア料理の道を追求する中で、私は「ワインへの知見を深めることは、料理を完成させる上で不可欠である」と確信していました。

感覚だけに頼るのではなく、AIS(イタリアソムリエ協会)の正確なメソッドに基づき、「アッビナメント(ペアリング)」を論理的に習得すること。その学びを、イタリアという地でリアルに体験しながら得られることが、受講を決意した最大の理由でした。


「リアルなイタリア」に触れた、かけがえのない財産

実際に現地で過ごした時間は、まさに「リアルなイタリア」そのものでした。

日々、膨大な数のワインと出会い、現地のソムリエの方々から直接伝授される教えの数々は、今でも私にとってかけがえのない財産となっています。また、スクールならではの深く掘り下げたカンティーナ(醸造所)ツアーなど、自身で訪れるだけでは決して得られない深い学びの機会がありました。この濃密な時間が、現在の私の料理の確かな裏付けとなっています。


ペアリングが広げてくれた「無限の可能性」

AISでアッビナメントを深く理解したことで、私の仕事には無限の可能性が生まれました。

「作りたい料理をさらに楽しんでいただくためにワインを選ぶ」だけでなく、「素晴らしいワインの味わいや風味に合わせて料理を創造する」という双方向のアプローチが可能になったのです。

ペアリングのロジックを自在に活用できるようになったことで、お客様には、一皿の料理と一杯のワインが共鳴し合う、より豊かな「上質な時間」を楽しんでいただけていると実感しています。


食を通じて「真の豊かさ」を分かち合う

私はイタリア料理を通じ、イタリアという文化と共に生きています。時代の中で求められる「真の豊かさ」を考えるとき、その根源は正しく「食」にある。これは私がイタリア料理から学び得た、最も大きな教えです。

現在は、「FUCHIGAMI」での活動に軸を置きながらも、JR九州「かんぱち・いちろく」の食事監修やパスタの国際大会での挑戦など、様々なフィールドで活動していますが、そのすべての根底にあるのは、イタリアで得た学びと喜びです。これからも、そこから得られる感動を、お客様やスタッフと共に分かち合い、イタリア料理の新しい価値を追求し続けていきたいと考えています。

石川 遼平さん(男性・30代・受講時20代・東京都)

株式会社グランド(ワインインポーター)営業 / ソムリエ・ワイン講師

「すべてを削ぎ落として挑んだ本場。AISの称号が、プロとしての世界を無限に広げてくれた」


 料理人からソムリエへ。師匠から受け取ったイタリアへの切符

私の食への旅路は、幼い頃に抱いた「料理人になりたい」という夢から始まりました 。調理師専門学校を卒業後、名店『リストランテ・カルミネ』へ料理人として入社しましたが、そこで出会ったイタリアワインの奥深さに衝撃を受け、ソムリエへの転身を決意したのです 。

その後、勤めていた「インカント」で、私の運命を変える「師匠」との出会いがありました 。師匠はイタリア現地のレストランで2年間修行し、AISの資格を取得して日本でオーナーソムリエとして成功されている方でした 。その姿に憧れ、「自分もいつか必ず本場でAISを取る」と決意 。24歳で日本のソムリエ資格を取得した後、27歳の時に当時の勤務先のバックアップを受け、念願のイタリア行きを果たしました


すでにプロだからこそ、すべてを削ぎ落として「本場」に浸る

実は、人生初の1人海外旅行で、乗り継ぎでバタバタした、滞在先の住所を用意し忘れたりと、今思えば無鉄砲極まりない波瀾万丈な幕開けでしたが、スクールが始まると私の心は一気に引き締まりました。日本である程度のキャリアを積んでいたからこそ、イタリアでは実績やプライドを一度すべて日本に置いていき、まっさらな初心に戻って授業に臨みました 。イタリア人がワインをどう捉え、評価しているのかという「現地の評価基準」を、本物の形で身につけたかったからです 。

人一倍の熱量を持って貪欲に質問を重ねる私を、講師の方々や日本人スタッフは根気強くサポートしてくれました 。特に、専門用語が飛び交う高度な内容でも、ソムリエ資格を持つ日本人通訳の方が細部まで橋渡しをしてくれたおかげで、異国の地でも一切の妥協なく学び抜くことができました 。

共に学んだ6名の仲間たちは、年齢も職種もバラバラでしたが、唯一のソムリエ職だった私にとって彼らとの出会いはかけがえのないものでした 。特にルームメイトとは、朝から晩までイタリアやワインの話を語り明かし、今では親友と呼べる存在です 。


アッビナメントの衝撃と、一生モノの武器

コースの中で最も心躍ったのは、レベル3で学ぶ「アビナメント(料理とワインの相性)」でした 。料理とワイン、それぞれの要素を数値化してグラフを作成し、ペアリングを導き出す手法は、AISの教育の核とも言えるものです 。アビナメントの面白さに、私はすっかり魅了されました 。

試験後の10日間でイタリア各地を巡り、2ヶ月という短い期間ながらも、濃密な経験とともに帰国しました 。決して安価なコースではありませんが、真剣にワインを学びたい方にとって、これほど素晴らしい環境はないと確信しています 。

その時の経験がきっかけで、さらに2022年にはイタリア20州全てをを自分の足で周り、数多くのワイナリーへ訪問したことも自分の糧になっています。


卒業はゴールではない。伝道師として新しい時代を作る

無事に資格を手にし、帰国後は広尾の『インカント』での統括ソムリエや、銀座の『グッチ・オステリア』でのアシスタントシェフソムリエを歴任。2018年には「イタリアワインベストソムリエコンクール」で入賞を果たすこともできました。

現在はワインインポーター『株式会社グランド』の営業をしています。セミナーやコラボイベント、ゲストソムリエなど、多方面からお仕事をいただけるのは、そのバックボーンに「AISの資格」と「イタリアでの実体験」という揺るぎない裏付けがあるからこそ。現地の風景や文化を自らの言葉で語れることは、あらゆる現場において、お客様への圧倒的な説得力に繋がっています。

私にとって、ソムリエ資格の取得はゴールではなく、新しいキャリアのスタートでした。今後はイタリアワインにまつわる出版や大規模なイベントの企画などを通して、その魅力をさらに広く伝えていきたい。そして、これまで受け取ってきたバトンを次世代へ繋ぐべく、後進の育成にも情熱を注いでいきたいと考えています。

藤原せいこさん(女性・50代・宮崎県)

藤原酒店 創業130年 酒類卸会社 勤務

「ただの勉強じゃない。イタリアの風土を肌で生きた日々が、私に最高の『自信』をくれました」


30年の歴史を持つ家業のために、本場で学ぶということ

宮崎県にある家業の藤原酒店は、今年で創立130周年の節目を迎えます。

ソムリエコースを受講した当時、大型の量販店などが増える中で、私たちがこれから先もお客様に選ばれ続けるために必要なのは、他にはない「専門知識」と「培ってきた歴史」だけだと思っていました。 それなら、紀元前2000年からワインを造り続けているイタリアの地で、本物の文化をこの目で見、学ぶことにはものすごい価値があるはず。そう考えて、思い切ってイタリアへと飛び立ちました。


「時代」が頭をぐるぐる回る猛勉強!それを救ってくれた温かいサポート

イタリアでの勉強は、想像以上に本格的で、正直とてもハードでした(笑)。 授業を終えて滞在先に戻って机に向かっている間、プレッシャーからか頭の中でずっと中島みゆきの「時代」がぐるぐると流れていたのは、今では笑い話です。 でも、そんな大変な時期を支えてくれたのが、スタッフの皆さんでした。安心して勉強に集中できるよう、いつも側に寄り添い、優しく支えてくださったおかげで、プレッシャーに負けずに最後まで走りきることができました。


 忘れられない、イタリアならではの体験

そして何より、このコースで得られた体験は、日本では絶対に味わえない素晴らしいものばかりでした。 最高峰のワインが生まれるボルゲリへの小旅行、フランチャコルタのワインフェスティバル、そしてワイナリーでの贅沢な試飲。

何より嬉しかったのは、モンテカティーニ・テルメという美しい街で、現地の人たちと同じように「暮らす」体験ができたことです。 勉強の合間に近くのバールへふらりと行ってエスプレッソを飲んだり、夕方にアペリティーボ(食前酒)を頼んで息抜きをしたり。街を歩きながらイタリアの風土や文化を五感で知ること。これこそが、ワインを真に理解するために一番大切なことなんだと、暮らしの中で自然と実感できました。


 合格はゴールではなく、新しいワイン人生のスタート

あの濃密で楽しかった日々を乗り越えた後、自分の中に「確固たる自信」が生まれました。 本場でワインの文化を五感で学び、プロとして認められたという経験は、今、仕事でお客様(飲食店様や小売店様)へワインをご提案する上で、本当に大きな強みになっています。

イタリアの美しい風土、温かい人たち、そして仲間と過ごした一生モノの時間。あの日々を胸に、これからもたくさんの人にワインの魅力を届けていきたいです。

湊 敦司さん(男性・60代・京都府)

イタリアワイン専門ワインバー「ワインバー・カヴァレッタ」

ワインショップ「エノテカ・カヴァレッタ」オーナー

「イタリアをさらに深く、豊かに極める。住むように滞在した1ヶ月が、長年のキャリアにプラスアルファを加えてくれました」


■ 「バッタもん」から始まった15年。専門店としてさらなる高みへ

京都の烏丸御池でイタリアワイン専門店「Cavalletta(カヴァレッタ)」を立ち上げてから、早いもので15年以上が経ちます。店名はイタリア語で「バッタ」の意味。2010年、まったくの異業種から突如この世界へ飛び込むことになり、「バッタもんのワインバー」という遊び心を込めて名付けたのが始まりでした。

すでに日本のソムリエ資格を持ち、長年イタリアの造り手の情熱や土地の文化をお客様に伝え続けてきましたが、イタリアワイン専門店の看板を背負う者として「いつかはAIS(イタリアソムリエ協会)の資格も取得したい」という想いが以前からありました。日々の忙しさからタイミングを計っていましたが、転機となったのはコロナ禍でした。皮肉にもお店の営業が落ち着いてしまったその時間、長年の夢を叶えるためのチャンスに変えようと決意し、受講を申し込みました。

■ 深まるイタリアの解像度。肌で知る文化がさらに広がる時間

もともとイタリアの文化や風土には深く触れてきましたが、現地での1ヶ月の滞在は、その解像度をさらに引き上げてくれる有意義な時間となりました。毎日6種類ものワインを徹底的にテイスティングし、素晴らしい先生方に囲まれて学ぶ日々。

さらに、現地に「住んでいる」ような感覚で街に馴染んでいく心地よさがありました。お気に入りの店ができたり、毎朝通うバールで地元の常連のおばあちゃんと仲良くなったり。そうして肌で触れたイタリアの空気感そのものが思い出です。

また、生活面や授業ではスタッフの方に大変お世話になりました。ただ講義を通訳するだけでなく、分かりやすく説明していただけたおかげで、深い理解を得ることができました。授業外でもレストランの予約をしていただいたり、卒業後、日本に帰国する際に必要だったコロナの検査を受ける際、言葉が通じず困っていた時にもサポートしていただきました。

■ カウンターで無言の説得力を放つ、2つのバッジ

無事に資格を取得し、現在はワインバーに加えて2022年に開店した「エノテカ・カヴァレッタ」の双方で、厳選したイタリアワインの魅力を発信し続けています。

帰国して実感しているのは、胸元に光るバッジがもたらす「お客様からの信頼度」の圧倒的な違いです。日本の資格に加え、イタリアのソムリエバッジ。この2つが並んでいるだけで、言葉を尽くさずとも、専門家としての確かな説得力をお客様に感じていただけます。

イタリアへ行くということは、ワインの知識を得るだけでなく、それ以上に人生を豊かにする多くの出逢いや経験を持ち帰ることだと確信しています。迷っている方がいるなら、私は自信を持って、本場への一歩をおすすめします!

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